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第3章治療
アトピ−性皮膚炎の治療は
A.原因(悪化因子)の除去.
B.外用療法.
C.スキン ケア.
D.かゆみに対する抗ヒスタミン剤.抗アレルギー剤などの全身的薬物療法.
E.皮膚感染症の治療である。A.原因(悪化因子)の除去原因または悪化因子には.アレルギー
(ダニ.カビ.ペット.食物)と非アレルギー(種々の刺激.感染.ストレス)によるものが
あり.いずれも十分な除去指導と環境整備が必要である。しかし.これらの環境整備が患児
家族に経済的,心理的圧迫にならないような配慮も当然必要となる。
1.ダニ,カビ対策
1)室内整備:絨毯.カーぺットを使用しないようにする。床張りがよい。
畳を使用する場会は防ダニ製品(バグカット畳.プラパール畳)が好ましい。
ぬいぐるみ.布張りソファー.鉢植え植物を置がなようにする。掃除を心掛ける。
2)寝具整備:布団は天日干しや布団乾燥機の後.表裏共掃除機をかけるとよい。
カバ−.シ−ツは洗う。防ダニ布団(クリニック布団)や防ダニカバー,シーツ
(ミクロガード.パーミー)を使用するのもよい。
3)換気,除湿:特に台所.風呂場。加湿器や開放型暖房機は好ましくない。
4)室内でのぺットの飼育禁止:犬.猫.鳥など。
2.食物アレルゲン対策
専門機関で正しい診断・治療を受けるのが望ましい。
1)食物アレルゲン除去:RASTのみで診断することなく誘発症状歴.除去.負荷テストにより決定し
原則的に二次製品までの除去が必要となることがある。さらに,代替食物の具休的指導が必要である。
2)除去期間:乳児では1一2歳頃まで,幼児では6か月間,学童では1年間を目安とする。
耐性獲得の有無は負荷テストにより決定される。6歳までに70−80%が耐性獲得するという。
3)注意点:除去中は体重増加不良,栄養障害.更に成長発達障害を来すことがあるので定期的に
体重測定.栄養・成長発達評価を行う。
卵アレルギ−では塩化リゾチームで,牛乳アレルギーではタンナルビンでアナフィラキシーをおこすことが
あるので要注意である。
母乳栄養児では母乳を介して食物アレルゲンを摂取する危険性があるので,母親が原因食物
を食ベないよう指導する必要がある。いたずらに母乳を禁止すベきでない。
3.非アレルギ−因子対策
1)種々の刺激の回避:刺激には,汗.涙.唾液・便・尿.汚れ.垢.洗剤.消毒液(プ−ルなど)
砂.掻破などがあり,回避が必要であるが,避けられない時はよく洗いスキンケアを行う。
季節的変動(夏一汗,冬−.乾燥)も考慮する。
2)感染:細菌・ウィルスなどの感染で悪化するので,その場合薬物療法が必要となる。
感染予防には皮膚の清潔(特に手指の洗浄)とスキンケアを行う。
3)ストレス:アトピ−であるための児と家族の精神的ストレスが問題となるので児だけでなく
児を取り巻く家族にも注意を向ける必要がある。特に,児を全面的に受容するよう父母ヘの
働きかけが必要である。乳幼児の場合,児よりもむしろ母親の心理的サポ−トを行う
ステロイド外用剤
1)種類
皮膚血管収縮作用と臨床効果の比較はより.・@strongest.・AvAvery
strong.・Bstrong ・Cmedium ?D weakの5段階に分がれている
小児では外界がら皮膚内への外来物の侵入を阻む脂肪膜と角質層が薄いため経皮吸収が
良いことがらstrong一weakのものを使用するのが望まじい。
(武田の分頼)
strong:ザルックス(o.c).ポアラ(o.c).エクラ−(o.c.t).リンデロン
V(o.c.1).べトネベート.(o.c).プロパデルム(o.c).
リドメックス(o.c.1).フルコ−ト(o.c.1).アルメ夕(o)
medium:ケナコルトム(o.c).レダコ−ト(O・c).ロコルテン(o.c.1)
ロコイド(o.c).キンダべ−ト(O)
weak:デク夕ン(c).ベリダームメドロールアセテート(O)・プレゾニン(O)
コルテス(O.C)
註.o:軟膏 c:クリ−ム l:ロ−ション t:テ−プ
a.年齢による選択
原則的には乳児にはmedium以下の,幼小児にはstrong以下の外用剤が望ましい。
b.剤型による選択
小児の皮膚は乾燥傾向があるので軟膏が適しているが.発汗量の多い夏期にはクリ−ムの方が良い。
頭部にはロ−シヨン.スプレ−の使用が適している。湿潤性病巣には刺激性の少はい軟膏が望ましい。
c.部位による選択
顔面.頭部の皮膚は毛細血管拡張,酒?様皮膚炎を起こしやすいので,medium以下が望ましい
眼周囲の皮膚は眼球への影響を考え,weakを短期間使用する,腋窩.頚部.陰股部,肛門,陰嚢
四肢関節屈曲面は皮膚が薄く吸収が良いのでstrongの使用は控える。
3)副作用を防ぐための注意点
a.局所的副作用の防止
顔面,眼周囲等の皮膚の薄い部分においてはmedium以下でも連用は二週間以内にとどめる。
上記以外の部位においても大人でもstroogの連用8週間で副作用が出現し得るといわれているので
小児ではさらに短期間内に止めるのが望ましい。
d.全身的副作用の防止
小児では,副腎皮質機能抑制の出現し得るステロイド外用剤の使用量はstrongのもので
15g/dayといわれる、出来れば7g/day以下が望ましい。
c.間欠的投与による副作用の防止
皮膚のステロイドレセプタ−はステロイド投与後一時消失し.その間はステロイド外用剤を投与しても
効果は発揮されないといわれるので,間欠的投与で充分対応し得るものと思われる。
ステロイド外用剤に反応しない病変への対応
a.薬剤が適当でない場合
強度や基剤,剤型を変えてみる。
b.感染症の併発
細菌感染(抗生物質,抗菌剤の使用)真菌感染(抗真菌剤の使用)ウイルス感染(抗ウイルス剤の使用)
c.コンプライアンスが充分でない場合
母親に外用療法の重要性を理解させる。保育園児においては.昼間の外用,スポ−ツ後の外用等
細部にわたって指示を与える。
d.薬剤によるアレルギ−性接触性皮庸炎が起こっている場合
5)ステロイド外用剤に対して恐怖感を持つ母親への対応ステロイド外用剤にはどのような
副作用があるのか,そのような副作用はどのように使用した場合に生じるのか丁寧に説明する。
6)ステロイド外用剤の副作用
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全身的副作用(軽度)
1,満月様顔貌
2.多尿
3.食欲異常高進,食欲不振
4.ざ瘡様発疹
5.多毛症
6.萎縮牲皮膚線条
7.色素沈着
8.皮下溢血,紫斑
9.血圧昂進
10.月経異常
11.興奮,不眠
12.多幸症
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局所的副作
1.皮膚萎縮
2.紫斑
3.皮膚潮紅
4.毛細血管拡張
5.酒皮膚炎
6.ざ瘡
7.乾皮症ないし魚鱗癬様変化
8.多毛
9.色素異常.色素脱失
10.皮膚感染症(細菌,真菌,ウイルス)の誘発と増悪
11.眼障害(白内障,緑内障)
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7)抗生物質含有ステロイド外用剤
浸出傾向のある紅班は経皮的抗原侵入時の症状と思われるが,表在性膿皮症の立ち上がりの
時の症状と区別しがたい。
このような時には,炎症の程度に応じて抗生物質含有ステロイド外用剤を塗布する。
strong:リンデロンVG軟膏,クリ−ム(G).ベトネべ−ト軟膏クリ−ム(F).コルデ−ルG軟膏
クリーム(G)フルコ−トF軟膏(F)
mid1um:ケナコルトAG軟膏.クリ−ム(GR).ケナコルトAロ−シヨン(F)
weak:テラコ−トリル軟膏(O)ネオメドロ−ルEE軟膏(F)べリダ−ムネオ.
メドロ−ルアセテ−ト軟膏(F)
註.G.硫酸ゲン夕マイシンF.硫酸フラボオマイシンO.塩酸オキシテトラサイクリンGRグラミシジン
2.非ステロイド系消炎外用剤
1)種類
アンダ−ム.コンベツク.ベシカム.スタデルム.ジルダザック.
2)適応
a.炎症が軽度な場合
b.アトピ−性皮膚炎の軽快中の維持療法
c.ステロイド外用剤の離脱を目約として使用する。
3)副作用
a,時に軽い刺激症状が見られる事がある。
b.稀にアレルギ−性接触度膚炎が見られる事がある。
3.その他の非ステロイド外用剤
1)種頼
a古典的外用剤 白色ワセリン、亜鉛華軟膏
b.止痒剤軟膏 オイラツクス.レスタミン軟膏、カチリ
2)使用法
a.炎症が軽度な場合
b,軽快中の維持療扶
c.ステロイド外用剤との合剤として使用する。
d.亜鉛華軟膏をステロイド外用剤の上に重層して使用する事がある。
e.顔面の湿疹にはこれらの外用剤を駆使する。
ステロイド外用剤を他の外用剤との合剤として使用する場合ステロイド軟膏或いはクリ−ムを
白色ワセリン.アズノ−ル軟膏.ウレパ−ル軟膏,ケラチナミンコ−ワ軟膏.ザ−ネ軟膏
オイラツクス軟膏等に1:1から1:3程度までに混合して使用する。
C.スキンケア
スキンケアは健康な皮膚を健常に維持し、その美を維持するという目的以外に、病的な状態の
改善を助け改善後の再燃を予防するという目的もある。
1.清潔(発汗.汚れに対して)
1)洗顔,清拭
2)シャワ−(重症児)
3)人浴(一日一回温めのお陽で浴槽に入っている時間は短めにする。刺激の少ない
石けんを泡立て手のひら或いは柔らかい綿の夕オルでやさしく洗いよくすすぐ。
その後は早急に皮膚を乾繰させる、
4)石鹸,シャンプ−
普通の浴用石鹸.シャンプ−または低刺激性のベビ石鹸.シャンプ−を用い
る、それでも刺激が強いときは.下記の低刺激性石鹸.シャンプ−を用いる。
a.石鹸:コラージュD乾性肌用石鹸・ミノン・ノブソープD・アトピコスキンケアソープb.シャンプー
:コラ−ジュシャンプー.ノブヘアシヤンプーD.アトピコスキンケアーシヤンプー
オードレマンシャンプー
5)入浴剤
保湿性のものが望ましい(保湿性のもの,単に香を楽しむもの.イオウを含んだものは避ける)
商品名
乾操肌用入浴剤バスキ−ナ
スクワラン.コレステロ−ル.コメ胚芽油
薬用バスエッセンスエモリカ
リビツドCS
薬用入浴剤シャンラブ
ニンニクB1エキス末.炭酸水素ナトリウム.無水硫酸ナトリウム
薬用入浴剤クワ夕イム
米発酵エキス
薬用入浴剤バスクリンAP
甘草エキス.ホホバオイル.炭酸木素ナトリウム
ノプ薬用バスモイスト
スクワラン.オリゴメ−ル.硫酸ナトリウム
オ−ドレマン薬用入浴剤
ヒノキチオ−ル.ハ−ブ
2.保湿
保湿性外用剤
市販のハンドクリ−ム,コ−ルドクリ−ム、ボディクリ−ムでもよいが以下の外用剤がよく用いられる
ワセリン.亜鉛華軟膏.親水軟膏.尿素含有軟膏(ウレバ−ル軟膏.ケラチナミンコ−ワ軟膏)
ヘパリン類似物質軟膏(ヒルドイド軟膏).アズレン含有軟膏(アズノ−ル軟膏)
ビタミンA軟膏(ザ−ネ軟膏).オリ−ブ油(ベビーオイル)、椿油(アトピコオイル.アトピコロ−シヨン)
コラ−ゲン配合軟膏(コラ−ジュクリ−ム))
3.生活指導
1)衣類
下着類は柔らかい木綿素材が望ましい。
新品は一度水洗いしたもの.古いものは洗剤や汚れのついていないものを着用する。
毛羽出った繊維の物は直接肌に触れないように注意する。ゆったりした仕立ての物を着用する。
乳幼児では母親の衣類にも注意すること。
2)洗濯
残留洗剤を無くすために濯ぎを丁寧にする。糊ずけ.ソフトナ−の使用は避ける。
3)その他
砂.玩具など皮膚を刺激する遊び道具に注意をする。
4.まとめ
環境から痒みをもたらす諸刺激を除去し.汗.汚れを洗い落とし.常に皮膚の清潔を保つとともに
外用剤は「足算方式」つまりまずスキンケア用品を広い範囲に塗り、悪いところに
副腎皮質ホルモン外用剤.抗炎症性、止痒性の外用剤をプラスするようにするのが望ましい。
1.抗ヒスタミン剤
かゆみ一掻破→皮疹増悪→かゆみ→掻破という悪循環を取り除くことが大切で
かゆみ止めとして有効である。抗アレルギ−剤に比ベ有用性がやや劣る。
症例により頓服,眠前のみ,分2一3で投与する。
アタラックスP,アリメジン,.タべジ−ル,テルギンG,ポララミン,ペリアクチンなどがある。
2.抗アレルギ−剤
種々のchemicalmediar遊離抑制と拮抗作用を有し炎症とかゆみを抑える薬剤である。
抗ヒスタミン作用をもつ抗アレルギー剤が有用である。速効性はなく効果発現まで1〜2か月かかる。
長期投与となることが多いので肝機能,検尿などのチェックが必要である。一方,抗ヒスタミン作用の
ない抗アレルギー剤投与時は抗ヒスタミン剤を併用するとよい。なお,食物アレルギーの場合
全身反応がなく完全除去が困難な場合はインタ−ル内服や他の抗アレルギー剤を用いると良い。
1)抗ヒスタミン作用のあるもの:ザジテン,アゼプチン,セルテクト
2)抗ヒスタミン作用のないもの:リザベン,インタール内服
3.漢方薬
単独の薬ではなくいくつかの生薬から構成されており,止痒作用・抗アレルギー作用
抗炎症作用などを有している。速効作用がないのでl〜2か月投与して効果判定を行う。
長期投与で低K血症,肝機能障害などがみられることがある。
消風散,小柴胡湯,十味敗毒湯,治頭瘡一方,補中益気湯,柴胡清肝湯など。
1.細菌感染症
浸出,びらん,痂皮の付着する膿疹化病巣があれば黄色ブドウ球菌が培養されるこ
とが多く,感受性のある抗生物質の軽口投与を5〜7日間行う。最近,連鎖球菌も注目されている。
2.ウィルス感染症
ヘルペス,水痘などのウィルスが原因となる。また,風邪で悪化することが多い。
ヘルペスに対しては抗ウィルス剤の点滴または内服を行う。
F.その他の治療
EPA製剤,ビタミンH,しそ油なども症例により効果の期待できる場合がある。
いわゆる民間療法については効果は不明であるので推奨出来ない。
G重症度別治療法
原因または悪化因子の除去とスキンケアは軽症から重症例の基礎治療として必須であり
軽症ではそれだけで軽快することが多い。軽快しないか中等症以上の場合
ステロイド軟脅・抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤などが適応となる。
重症例や急性増悪例では入院治療が望ましい。
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原因(悪化因子)除去
スキンケア
非ステロイド軟膏
ステロイド軟膏
抗ヒスタミン剤
抗アレルギ−剤
漢方薬
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